上手な子どものしつけ方08
しつけと虐待の違い、境界線について
児童虐待のニュース報道などでは、「子どものしつけのためだった」との理由が報じられることをよく目にします。また、子どもへの注意がヒートアップする保護者をみて「しつけというより、児童虐待では?」と感じたこともあるかもしれません。いかなる理由であれ、虐待は許されないものではあるものの「しつけ」と「虐待」の違いはどこにあるのでしょうか。
感情にまかせて力でコントロールするのは虐待
虐待は、保護者が子どもの上に立ち、感情にまかせて力づくで子どもをコントロールすること。そのため、子どもは恐怖を覚えるものです。保護者のほうが体も力も強いことを利用し、威圧して子どもを支配するものであり、次の4つの種類があります。
・身体的虐待
・心理的虐待
・性的虐待
・ネグレクト
暴力をふるうことだけでなく、暴言を吐いたり、子どもに食事を与えないといったケアを怠ることも虐待となります。
上手な子どものしつけ方07
●厳しすぎるしつけをされた子どもはどうなる?
子どものしつけは、神経質になってしまいがちなものです。子どもに社会性を身に付けさせ、学校や社会で苦労することがないようにしなければ……と思うあまり、つい厳しくなってしまうこともあるでしょう。時には「しつけのため」と手が出てしまうこともあるかもしれません。とはいえ、厳しすぎるしつけは百害あって一利なしです。度を越した厳しいしつけが、子どもにどのような影響を及ぼすかを理解しておきましょう。
(1)萎縮し、好奇心を無くしてしまう
(2)親の顔色をうかがうようになり、自己決定力が育たなくなる
(3)自己肯定感が持てず、無気力になる
(4)嘘をついたり、ごまかしたりするようになる
感情にまかせて怒ったり、いつまでも叱り続けると、子どもは「人格を否定された」と感じ、自尊心を失ってしまうものです。「このしつけ方は、子どもを尊重したものになっているだろうか?」と客観的に自分をチェックすることも大切です。
上手な子どものしつけ方06
我が家ならではの「しつけ」の視点を持とう
子どものしつけは、保護者の大切な役割です。とはいえ、「良いこと」「悪いこと」の判断や、従うべきルールの範囲、子どもへの教育方針は、人によって千差万別。経験や育ってきた環境、価値観などが反映されるので、しつけの具体的な内容についても、様々な考え方があるものです。
このとき、大切なのは溢れかえる情報に振り回されすぎないこと。情報に振り回されるあまり、保護者の言うことがコロコロ変わっては子どもも混乱して、何が正しいのかの判断がつかなくなってしまいます。
情報に振り回されないためには、自分の家庭のしつけの視点と教育方針を持つこと。夫婦や家族で話し合い、ご家庭ならではの視点、考え方、大切な価値観を持つようにしましょう。
上手な子どものしつけ方05
4歳以降:言葉で言い聞かせ、「どうすればよかったかな?」と考えさせる
この時期になると、子どももルールや他人の気持ちの理解もできるようになります。また、自分の意見を言葉にすることも少しずつ上手になってくるものです。そのため、因果関係や理由を説明する言葉のしつけができるようになります。
このときに大切なのが、保護者がくどくどと言葉で説明しすぎることのないよう、子どもに考えさせる投げかけをすること。「あなたにこう言われてお友達はどう思ったかな?」「どうすればよかったんだろう?」と質問することで、子どもは他人の立場に立って考えたり、正しい行動を考えたりできるようになります。
上手な子どものしつけ方04
2?3歳:保護者がお手本を見せる
イヤイヤ期真っ只中の時期。保護者にとっても、子育てのストレスや疲れが出やすい時期です。この時期の子どもたちは、自我が発達し「こうしたい!」という自分の考えや思いが強くなるものの、うまく言語化できなかったり、どうしていいかわからなくなってしまったりして癇癪を起こすこともよくあるでしょう。
また、お友達と仲良く遊ぶのもまだ少し難しい時期なので、自分の意見をうまく伝えられず、オモチャの取り合いになったり、手が出てしまったりすることもあるかもしれません。
どうすればよいのかという正解がわからない状況にあるこの時期の子どもに対しては、叱ったり注意したりするよりもお手本を見せてあげることが大切。オモチャを片付ける、「一緒に遊ぼう」と声をかける、「貸してもらってもいい?」と聞いてみる、「ごめんね」と謝る……こういった保護者の行動をお手本として真似をすることで、正しいふるまいを学んでいくことができるものです。
上手な子どものしつけ方 03
1?2歳:叱るのではなく、共感し言い聞かせる
自我が芽生え、ますます好奇心旺盛になってくる時期。この時期の子どもたちは、モノを投げたり、急に走り出したりと保護者がヒヤっとしてしまう行動も増えるでしょう。言葉も発達してきますが、まだまだ理解が追いつかないことも多いものです。
そのため、危険な行動など注意すべき事態が起きた際は、ただ指摘するだけではNG。次のプロセスを意識するようにしましょう。
・子どものしたことを言葉にし、子どもが自分が何をしたか把握できるようにする
・子どもがしたかった気持ちに共感する
・叱るのではなく言い聞かせる
この時期の子どもはいきなり注意しても、何に対して注意されているのか理解できません。そのため、まずは子どもがしたことを保護者が言葉にしてあげることが大切です。そのうえで、頭ごなしに叱るのではなく子どもの「これがしたかった」という好奇心に寄り添うこと。このように子どもが理解しやすい状況を整えたうえで、言い聞かせていくようにしましょう。
上手な子どものしつけ方 02
0歳の時期の赤ちゃんは、コンセントに手を入れようとしたり、熱いものに触ろうとしたり、電池を舐めようとしたりと危険な行動もしてしまうものです。とはいえ、0歳の赤ちゃんは何が危険で、何が安全かを把握することはできないもの。赤ちゃんを注意するのではなく、大人の側が危険が生まれないように環境を整えてあげるようにしましょう。
上手な子どものしつけ方01
子どものしつけは年齢に合った伝え方を
子どものしつけは「何歳になったらスタート」「これができるようになったら開始」というものではないようです。赤ちゃんに愛情を持って話しかけ始めたときから、しつけのスタートですね。年齢に合った方法で「良いこと」「悪いこと」といった社会のルールを伝えていくのが大事です。
0歳:しつけの土台作りとして、安心感を与えて
0歳の赤ちゃんは、まだまだ言葉が伝わりづらい時期です。そのため、怒ったり、注意したりしても効果は出づらいものです。この時期に大切なのは、親子の信頼関係を構築し、赤ちゃんに安心感を与えてあげることです。赤ちゃんの好奇心旺盛な行動を丸ごと受け止め、受け入れてあげてください。そうすることで「自分は親に愛されている」「親は自分の存在を大切に感じている」という基本的信頼感が生まれます。これが心の成長としつけを理解する土台となっていきます。親子の信頼関係が育まれてこそ、しつけは成り立つことをしっかり理解しましょう。
しつけポイント5
5.しつけは愛情を持って根気強く
しつけには、根気と体力が必要です。いっぱい褒めたほうが伝わりやすい子もいれば、ゲーム感覚で取り組むことで自然と身につく子もいるなど、子ども一人ひとりに合わせましょう。
しかし、いくら工夫しても、親と子どもの信頼関係がなければうまくいかないこともあります。だからこそ、普段から子どもの「意欲」や「できたこと」などを認めて褒めてあげることで自尊心を育み、信頼関係を構築しておくことが、しつけをしやすくすることができます。愛情を持って、丁寧にしつけをしていきましょう。
しつけポイント4
4.こんなときは叱ってもOK. ...
危険なことをした場合
命にかかわるような危険なことをした場合は、叱ることも必要でしょう。遊びに夢中になって道路に飛び出したり、興味があることに気を取られて危険に気づくのが遅くなったりすることがあります。その場でしっかりと叱るようにしましょう。時間が経ってから叱っても、どれだけ危険だったのか、なぜいけないことだったのか子どもには理解しづらく、「叱られた」という印象しか残らなくなってしまいます。
しつけポイント3
3.大きな声ではなくできるだけ落ち着いた声で
子どもがうまくできないときなどに、つい大きな声で叱ってしまうことも多いのではないでしょうか? そんなときほど、できるだけ落ち着いた声で話しかけることが、大切になります。
少し低めの声で、しっかりと目を見て話すようにすれば、より子どもに気持ちが伝わりやすくなるでしょう。子どもの目線で話すと、威圧感も軽減できます。また、スーパーなどの大勢の人がいる場所でも、大声で子どもを叱ることは避けましょう。子どもの自尊心を傷つけることにもなります。
子どもは保護者や周りの大人たちの行動をよく観察しています。大人が礼儀作法の見本となるような行動、振る舞いを心がけるのも、しつけにおける大切なポイントになるでしょう。
しつけポイント2
上手なしつけ方〜5つのポイント〜ポイント2「やらなかったことを叱る」のではなく「できたことを褒める」
しつけをする際にやりがちなのが、「やらなかったことを叱る」ということです。しかし、叱るとそのときは従うもののイヤイヤやることになってしまうでしょう。その結果、「バレなければいいや」という気持ちが芽生えやすくなりますので、次につながりにくくなってしまいます。
また、褒めるとお子さまはそのことを好きになり、自主的に動くようになるかもしれません。褒めるときのポイントは「えらいね」や「すごいね」だけではなく、「おかげでママ助かったわ」や「きれいにお片づけできて気持ちがいいわね」などの言葉で伝えることも大切です。お子さまの行動の結果、どんないいことが起きたのか、ということも一緒に伝えると、よりお子さまのやる気につながりやすいでしょう。
しつけポイント1
上手なしつけ方 〜5つのポイント〜 ポイント1.「〜しなさい」ではなく「〜しようね!」
しつけをするときは、その理由をきちんと納得できるように説明し、「〜しようね!」と提案することが大切です。そうすることで、「自分で頑張った」という自主性を子どもが感じるようになるでしょう。
しつけをするときに大切なポイントは、「否定しない」ということです。子どもがしていることに対して、ついイライラして「〜しないでね」と言ってしまうこともあるでしょう。しかし、子どもは自分がしていることを否定されるとイヤな気分になり、素直に大人の言うことが聞けなくなってしまいます。
そこで大切なのは「やってはいけないこと」を言うのではなく、「やってほしいこと」を伝えること。ポイントは「具体的にやってほしい行動内容」を伝えることです。
子どもは、イメージができないとうまく行動に移すことが難しい場合があります。例えば、「汚い手でおにぎりを食べないでね」と親が言っても、なぜダメなのかが子どもにはわかりません。「汚い手でおにぎりを食べるとバイキンさんも一緒にお口の中に入ってしまうから、おなかが痛くならないように、きれいな手で食べようね」と言うだけで具体的なイメージが湧きやすくなるでしょう。このように、なぜそうすることが良いことなのか、ということを伝えれば、子どもも納得して行動に移しやすくなります。
10 子ども川柳
・うちゅうまで明日晴れるか見に行くよ(小3)
・晴れた日に収穫トマトかぶりつく
・晴れの日は男は外にいくらしい(小3)
・あいすはねはれになったらおいしいよ(小1)
・晴れがすき太陽もすき月もすき(小3
・ガチャガチャで晴れのカプセルあたるかな(小2)
・忘れ物届くといいな僕のかさ(中1)
・今日は晴れおれの心はどしゃぶりだ(小5)
・そとは雨しゅくだいなくてこころ晴れ(小1) (広報誌第15号掲載)
・神様が選んでつくる晴れと雨(中1)
・台風のすぎた空色ラムネ色(中3)
・晴れた空見るとくしゃみがでてくるね(小6)
・毎日が太陽みたいな学級だ(中1)
・青い空せんたくものがパリッパリ(小3)
・ばあちゃんが笑っている日はいつも晴れ(中1)
躾けるとき
こんなときは叱ってもOK
しつけをするということは、ルールを教えるということです。ケガにつながるような危険な行動があった場合は、しっかりと叱るということも必要でしょう。
しつけだからと、どんなことでも約束をして、守れないからと叱ってばかりいる状態にはならないよう気を付けてください。保護者は約束事の内容が、叱る必要のあるものなのかどうかを判断することも大切です。もちろん、約束を守るということも大切ですので、叱るほどの約束ではないと判断した時は、叱るのではなく話し合ったり、態度によっては注意したりということでもよいのではないでしょうか。